異次元だらけの花巻。童話と温泉とドイツカフェ
一年通った岩手。沿岸部は何度も訪れているのですが、内陸部はわかっていないことが消化不良。
そこで休日を利用して花巻に。
花巻周辺は童話の世界。山の上を銀河鉄道の列車が上っていくよう、林の中を歩いていると葉っぱたちが会話しているよう。宮沢賢治が想像力をかきたてられ、さらに農業の新しいコミューンを作ろうとしたのがわかる独特な土地柄です。
そしてメインは温泉。台温泉など気になるところは色々あるけれど、花巻南温泉峡の大沢温泉を選びました。渓流沿いの露天風呂が有名すぎて、20年位ずっと恋焦がれていたのです。宮沢賢治も花巻農学校の生徒を連れて通ったことで知られています。
泊まったのは「大沢温泉湯治部」。
http://www.oosawaonsen.com/touji/
大沢温泉は「山水閣」「菊水館」「湯治部」と異なる趣の3つの館があり、私は1泊2食付の「菊水館」を予約したはずが、現地に着くととれてないという。
湯治部が一室だけ空いているとのことで仕方なく選んだはずが、大正解。
築200数十年の建物はほれぼれとしてしまう風情。そして湯治場というとなんとな暗い印象があるけれど、ここは全くはっぴを着たスタッフが「帳場」でてきぱきと働き、廊下も情緒ありかつきれいに掃除してあるのがわかります。
日帰り客用の待合室もなかなかの風情。
お部屋は湯治場だけあってこんなコンロがあり一瞬ひるみますが、清潔感がありこたつが和みます。
お支払も湯治部だけあって独特。部屋代がマスト、お布団や浴衣、ストーブを借りると、どんどん加算されていく積み上げ算。
居酒屋風のお食事どころもあって、メニューも豊富、安くて美味しい。
炊事場もあるので長期滞在はここを利用すればリーズナブル。学生はここで作るのも楽しいかも。
そして温泉。入れるお風呂は計5つもあります。名物渓流沿いの混浴露天風呂「大沢の湯」をはじめ、春~秋には窓を開け放しで半露天となる「豊沢の湯」、女性専用露天風呂、檜の香りが和む内風呂「南部の湯」、源泉かけ流しタイル張りのレトロな内風呂「薬師の湯」。
どれも風合いが違い、湯めぐりが楽しいです。
そしてこの温泉の最大の特徴は、お湯に入った途端、老いも若きも「きもちいい~」と思わず叫んでいるのです!
私もこんなに気持ちよいお湯は早々ないです。
両手をこするとぬるっとする、とってもなめらかな、完全美肌の湯。湯治のお湯だけあって、底からあたたまる。保湿性たっぷり。
そしてこの解放感。
露天風呂、全国に数あるけれど、そして色々入ってきたつもりでいたけれど、こんな景色もお湯もホンモノ感を感じた場所は初めてかもしれません。これぞ求めていた「THE日本の露天風呂」。
名物の渓流露天風呂は20時~21時女性専用で露天風呂の入り口に女性の門番もいて、お客様の気持ちに寄り添っているのがうかがえました。
実は大沢温泉、あまりにも有名すぎて、ひねくれものの私はあまり期待していなかったのです。お客様がたくさんくるから、きっとサービスや質も景色も実際はそれほどでもないのだろう・・と。
しかしここはホンモノです。お湯も風景も心地よさも。湯治部なのでもちろんサービスなんてないのですが、宿の方が宿もお客様も大切にしているのがわかります。
たとえば帳場にいた男性が朝、廊下や階段をさっさと履いて掃除をしている。きもちのよい挨拶をする。少人数でまわしているのがわかりましたがみんな誇りをもち責任もってやっている感じです。
朝もゆっくり入りました。
十分ゆっくりしてあったまって、一週間たった今でも体調がよいです。
わざわざ新幹線に乗って来る価値がある場所です。家族も連れてきたい。
弱ったら、ここに来よう。湯治場はここで決まりになりました。。
大沢温泉にはもうひとつ楽しみが。
大沢温泉から歩いて5分位のところに、ひっそりとある、
完全予約制のドイツカフェ「バックシュトゥーベ」。http://www.backstube-hanamaki.com/
ハイデルベルグ出身のご主人と岩手出身の奥さまが22年ほど前から2人でやっています。
8席ほどの、おうちのような小さなお店。ランチもディナーもやっているそうです。
ご主人、陶芸家で笠間や京都にもいたとのこと。今はケーキが大人気で、一度食べたお客様が忘れられない、と全国から注文が殺到しているとのこと。
実際一度食べたら忘れられないです。ドイツのケーキ、そんな食べたことないですが、東京でもこんな美味しいものはないと思います。
卵、バター、粉、塩、すべての材料にこだわって丁寧に丁寧につくったてづくりケーキ。
本格的、かつ家庭的な優しい味でほっこり、日差しが降り注ぐ小さな空間にいると昔読んだ絵本の中にいるような気持ちに。
チョココーティングに入れるベリーなどはお庭で育てているそうです。
宮沢賢治の童話の世界、疲れが取れる温泉、ヨーロッパのおとぎ話の中に入りドイツカフェ。。花巻は異空間だらけでした。