レトローカル旅

レトロに出会い、地域と繋がる、最高のひとり旅

上野桜木〜谷中のたてものめぐり ①

地元を愛するひとに町を案内してもらうと、その町に暮らしている人の息吹を通して町の歴史と生活がわかり、その町がぐっと身近になる。そんな経験を各地域でたくさんさせてもらって
しかしいざ自分となると、東京に長く住んでいるのに、結構知らない。どこを案内してよいのやら戸惑ってしまう。
憧れのエリア上野桜木周辺。かつて多くの芸術家や文化人が住み、最近は感度の高いワカモノで溢れかえっていて益々気になるエリア。
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お世話になっている富山城端の山口誠さんが「谷中の古きよき建物めぐり」を地元の方にご案内いただくと聞き、「わ、わたしもぜひおききしたい、そして東京に来た方をご案内できるようになりたい!」と図図しく参加したのでした。
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ご案内していただいたのは、このエリアある町並みを守り続けている「たいとう歴史都市研究会」の椎原晶子さん。
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笑顔ももの腰も柔らかで、素敵な女性。
お話を聞きながらご案内いただくにつれ、この町のもつ人を惹き寄せる独特の風情や情緒、そしてさんぽがとても楽しいのは、決して自然にではなく、こういう方々が必死に必死に守ってきたおかげなんだと痛感したのでした。
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待ち合わせは「カヤバ珈琲」。
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大好きな喫茶店ですが最近はいつも長蛇の列。
このカヤバ珈琲は大正5年から愛され続けたのですが、平成18年にいったん閉店となってしまいました。
そこでNPO化した「たいとう歴史ー」が仮受け新しい運営者を探して復活したそうです。
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卵焼きをはさんだ名物「たまごサンド」はかつて通っていた近所の方々に聞きながら再現したという、古きよきものを新しい人たちがリスペクトしながらの継続は、今多くの若いお客さんに受け入れられ、伝えられています。

この町のさんぽの心地よさは「古いいい感じの建物が残りつつ」「高い建物がない」「大きな道路がなく道が入り組んでいて楽しい」ことだと思います。
ここも都市計画でそこに大きな道路を作ろうとしたり高層マンション構想もあったそうです。そこを歴史的建物を保存することにより、道路建設を差し止め、高いマンションは6階までとする活動もされてきたそう。

そして財産なのはこの近くにある東京藝大の学生たち。
優秀な学生たちがこの界隈に下宿し、この町の良さを知った人たちが、卒業後もこの町に関わり、新しいものと調和させて活気づけているのです。

続いて向かったのが「市田邸」。
案内されないと決して入ることのない、明治の風情を残すお屋敷です。
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明治末期の日本橋の布問屋さんの豪邸で戦後は
藝大の学生の下宿先でもありました。
今は二階をシェア居住にして住んでもらうことで維持管理してもらい、一階のお座敷を芸術文化活動の拠点としているそうです。
現に案内された時に藝大生によるミニコンサートが開かれていました。
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ちょっとオシャレをした小さなお子さんと若いお父さんお母さんでたくさん。とても心地よい良い空気が流れてました。こんな素晴らしい空間でこんなステキな音楽を聴いて育ったら、きっと心が豊かな人生になるに違いないです。
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若い人に住んでもらって建物を維持。そしてイベントをしたりビジネスすることで町を繋げる。

その最たるものが「上野桜木あたり」。
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通りからちょっと入ったところの静かな場所にありますが、今人気のスポットです。
昭和13年に建てられた三軒屋の壁を取っ払い、路地と座敷で繋がっている場所。
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この風情ある建物棟には「谷中ビアホール」という風通しの良さそうな心地よい空間の地ビール屋さんと
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奥にはお塩とオリーブ屋さん、ベーカリー屋さんがあります。
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オリーブもパンも思わず買ってしまい、どちらもしっかり美味しかったです。

梅が映える三軒のうちの一軒は一階がイベントスペースで2階がやはりシェアハウスだそうです。
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この陽だまりいっぱいの畳の部屋「みんなのざしき」には
ちょうど雛人形が飾られていました。
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お顔が小さくて品があって美しい。この雛飾りもこのエリアを象徴しています。

まだまだ素敵なまち&たてものめぐりは続きます。つづく。。