レトローカル旅

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【萩津和野めぐり】萩雑感〜昭和の観光地から脱却するには〜

東京からのアクセスが悪めで縁遠く、やっとこれたはじめての萩&津和野。城下町、小京都のひとつであり一度は訪れたいと思っていた、イメージのよい2つの町。

しかし結論としては「知名度」「イメージ」と「現実」のギャップがあり、居場所がないような気持ちになりました。

以下、今回は珍しく案内もない、初心者として観光スポットをまわっただけので、ごく一部しかみてないこと前提でございます。

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萩の町は城下町の面影を見事に色濃く残しています。海に面した町でかつての砂丘地の三角州上に武家屋敷、町人屋敷が碁盤目状に広がっていて、掘割がある細い道は風情あり、散策にはぴったり。武家屋敷には夏みかんの白い花とオレンジ実が鳴り、この地特有の情景が広がっています。

 

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それに萩=長州藩世界遺産、日本遺産の宝庫。誰もが知る松下村塾だけでなく西洋に改革を急いだ足跡の反射炉や造船所跡、製鉄遺跡などまであって歴史好きにはたまらない。

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町の中心部にある「萩博物館」や多くの歴史的人物を生んだ藩校「明倫館」内でも、明治維新の原動力となった長州藩出の人物を全面に出していて町にとって一番の財産、誇りであることが伺われます。当然です。2つの施設は市のものですが広大な敷地に県立レベルの建物で立派。

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中にいるスタッフもサービス満点で、行政としても力を入れているのが伝わってきます。

歴史に疎い私でも、吉田松陰先生は別格なので生まれた場所をこの目でみて感じ、生い立ちや志の高さを知ることは大変面白かったのです。

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しかしふと客観すると、松下村塾や博物館、メインの武家屋敷には大型バスや車が乗り付け昼間はわんさか人がいるのに、その他のエリアには観光客が見当たらない。。夕方近くになると、全体的に人がいない。

よくよく見ると中心地にも空き家がいっぱいあって萩の人もいなくて寂しい感じ。。

 

萩の中心部と思われる(萩は中心、というものがなくなってしまった、とのこと)アーケード商店街は新しくお店を開いている様子があるのに人もまばら。まあこれはよくある光景だけれど。。

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そしてここからが本題です。

観光地として名高いのに、個人旅行客が気軽に入れるような夜ごはんのお店、居酒屋が、なかなか見当たらないのです。カフェ、しかり。当然モーニングもなし。

私の場合、予め地元の方におすすめを聞いて何軒か回ったのですが、逆に地元の人ばかりでわーーっと盛り上がっていて、なんだかとても入りづらい。入りやすい飲み屋やご飯屋さんが見つけられないで結局何十分も歩いてしまった。という経験はここだけではないのだけれど、なんというか、こんな長い間有名観光地なのに、個人観光光客の受け入れ体制が未だないのを実感せずにはいられませんでした。

 

それに飲み屋街近くに泊まったのに観光地にありがちな、いえあってほしい飲み歩きできるような界隈が見当たらない。古いスナックなどポツポツあるけれど、地元の方専用のような感じ。

こ、これは出張で来た方や観光客の飲んべえは楽しめるのか。。?

地元の方によると社会だからひとつのお店に何時間もいて車や代行で帰るから飲みあるきの習慣がなく、観光面でも団体客仕様だからホテルで食事をするから育たなかったとのこと。

しかしanan non-noで萩が取り上げられた昭和から女性の個人客はたくさんいたという。

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一言で言えば、何十年もの間、個人観光客は困ってしまう、未だ昭和40年ー50年の萩津和野ブームを引きずった、「昭和的観光遺産」なのです。

現に日本全国津々浦々、もはやどこにでもいる外国人も、ここでは見当たらない!そんな観光地があるのかと驚きましたしこれはある意味貴重!

 

といっても、萩はイメージどおりよい町です。

風光明媚。穏やかな海が広がり、すぐそこになだらかな山々もあり自然豊か。色んな景色を楽しめる。漁港もありお魚も美味しい。

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歴史は資産です。長州藩は確かに先駆的な教育でグローバルな視野を持つ偉人を輩出し、日本を近代化させてくれた。その人物は今も人々を魅了する。

でも遠い過去のことでもあります。歴史に触れながらも「今の」萩を見たいのです。遠い過去のことを勉強みたいに知るだけじゃ、頭がパンパンでおわってしまう。

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普段興味のない歴史的スポットや人物の成り立ちを無理矢理読んで「行ってきた」という旅は、もう終焉しつつあります。家族や大切な人との思い出の旅としてはいいけれど、旅行も多様化。「浅草」を観に東京に行ってみたい、と思う日本人がどれだけいるのか。

 

萩のようなところはどうしたらよいか、と勝手に考えてしまう。

いきつく持論は、今の魅力の掘り起こしと地元の人と接する機会です。

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結局この旅で残っているのは宿やカフェの人とお話しをしたこと。吉田松陰伊藤博文より、地元の人と萩のことやたわいもない話を通して価値観に触れたこと。

今そこに生きる人々を通して、その土地特有の歴史や暮らしを感じられるのが、これからの旅の主流のひとつだと確信してやみません。

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その地域だからこそのコト、ヒトをどう伝えるか。

 

例えば、ですがこれ。

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藩校だった「明倫館」のトイレ。こんなマークがあったら絶対に綺麗に整頓する。きちんと教育がなっているのは萩だから?(これどこにでもあるんだったら勘違い)。それにお恥ずかしながら車が通ってなかったので結構拡幅のある道路を横断していたら小学高学年と思われる男子に「危ないですよ」と叱られました!これはご立派、身分にかかわらず教育する松下村塾の名残か?と反省とともに無理矢理地域性と結びつけました。そういえば自転車こいでいたら小学生が「こんにちわ」と挨拶してくれました。そんな町は印象にのこります。

 

色々書いてきましたが、萩にもステキなゲストハウスができて外国人が泊まっていたり、今の萩を歴史だけでない視点で情報発信していらっしゃり、新しい息吹きが生まれています。地元の方の話をきくと長州ならではの気質とか財政とか色々根深そうみたいなんですが、歴史ある町は自負とともに素地ありパワーあり、何より町自体が魅力的。

 

ちなみに「萩石見空港」という名前なのに、需要がありそうな萩から空港への空港バスが存在せず、乗合タクシーというものに初めて乗りました。私もまだまだだ。。。

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 それよりも強烈だった津和野のことはまたの機会に。。