弘前の熱い夜〜ねぷたとねぷた小屋体験
ディープな夜の街をご案内いただいた弘前路地裏探偵団のとったんさんに、翌日もまたお世話になっていたのでした。真っ盛りの田舎館村田んぼアートや古い町並みの黒石のこみせ通りに連れてってもらったり、ほんものの津軽三味線を聴かせてもらったり。
そしてとったんさんは夜はねぶたに参加。「せっかくだから参加せ」とのお誘いに勇気がなくお断りしていたのですが、「こんな機会二度とない、乗っかるべきだ」と思い直し、勇気をもって参加することにいたしました。
この勇気って大事。
この後の熱く長い夜はわすれられません。
所定の位置に足を運ぶと、他の山車よりひときわおどろおどろしい、というかちょっとつっぱってる?感じの山車と群がる人たち。一瞬、いえ相当躊躇しました。
とったんさんもこんな感じ。
カッコいい。。
山車の出番を待つ若いコも、モヒカンだったり、それが却ってわたしのまじめ人生に欠如した世界で、やたら興奮してきます。
この山車は電気ではなく、中にロウソクを灯して光を放っています。
ほかの山車と比べるとライディングは弱くなるのですが、このほうが絵が生きものになって動きだす感じで、いいなと思いました。山車は目立てばいいってもんじゃない、との格言、納得。
そして多分山車の上に乗っかる人は取り仕切る大将みたなものだと思いますが、とったんさんはそうだったのでした。
そして上がってこい、という。
そんな男社会の聖域に行っていいのか?と躊躇するけれど「好意には乗っかれ」と自分に暗示をかけて、あがっていきます。
扇ねぷたの上からの景色をみて、なんだか涙がしばらく止まりませんでした。
感動です。これぞ祭りのチカラなんでしょうか。
ギリギリに参加を決めたので、当然浴衣やはっぴなどなく、この私服で出るのが申し訳ないなあと思ってたのですが
出発間近なのに、わざわざご自宅に戻って取ってきてくださった方が。
丁重にお礼を言うと
「とったんの客だから」とおっしゃる。
ありがたい。
そして横浜や北海道から参加した女性もいて「一緒に歩きましょう」とか色々気を使ってくれて、輪に入りやすくしてくれて本当にありがたかったです。
そして山車を引く頃には最前列を陣取っていたのでした。
「ねぷたは見るもんじゃなく参加するもんだ」とチームの方が口を揃えていっていたのがわかってきました。
この興奮ってほかのものにはない感じ。だから祭りってあるんだなぁと。
写真を沢山撮ったのに見事に上手くとれてないのですが
観客が喜んでみている姿がとても印象的でした。
ひときわ拍手が起こるのが、扇ねぷたをくるくる回すとき。
男衆が縄でグルグルまわします。
モヒカンの子達がやたら興奮してはしゃいでて、ギリギリな感じ。
この子たちが弾けるためにお祭りってある気がして、微笑ましいです。
お祭りがあるところで育つ人はしあわせもの。
興奮しきりのあっという間の時間でした。
通りをねけてハケると、山車が除雪車によってレッカー移動してるのも、さすが北国でした。
そしてとったんさんが「あがってこいあがってこい」というようなことをまた言う。どうやらねぷた小屋まで来なさいということらしい。
山車の倉庫で打ち上げをするという。
もちろん図々しさ全開になっていたので
参加させてもらうことにしました。
しかも上座のような一段高いところにとったんさんはじめ重鎮がいて、皆んなを見下ろしており、そこに図々しく座ったのでした。ちょっと怖そうな兄ちゃんが多いし上下関係をきっちり守ってるのが伺えたのでこれも躊躇しましたが、
考えてみたら、わたしこそ年輩者なので開きなおりました。
このチームの参加初日。さぞコメントつきの反省会があると思いきや、それぞれ黙って飲むだけ。
日曜日の夜ということもあり、飲んだ人から意外にさっさと帰ります。
そんな中、会社の飲み会も絶対一次会で帰る協調性のない私が 、よなよな最後までいてとったんさんを見送り、後片付けもして、最終退館者となったのでした。
それだけ居心地よく、楽しかったのです。
このチームで30年以上も続けてる、地元に根付きお祭りを愛している方々のお話はどれも面白く、敬服することの連続。
高校生の時に立ち上げ、それから30年続けるって、なんてすごいことでしょう。色んなことがあったことも垣間見れます。でも続ける。
なんでですか、と聞いたら、お祭りがあるからだ、と。胸打たれました。。
私はねぷた祭りよりこの時間のほうが記憶に深く残ってます。この空間を味わいにまた行きたいと思う位。
今回の弘前での貴重な数々は、わたしの見えないとこらで人の繋がりと信頼関係があってのこと。
自分もこれからその辺を意識して、縁ある人にはなるべくできることをしよう、と教えられた時間でもありました。