レトローカル旅

レトロに出会い、地域と繋がる、最高のひとり旅

唐津グルメ

唐津というのは食の文化が発達している」とも昔から聞いていました。グルメ本なら福岡版、ではなく「福岡•唐津」版だ、と。今はミシュランも放っておかなくなりましたが、グルメじゃないわたしも気になるお店がたくさん。短い滞在ではとても回りきれません。
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坂本さんにランチに連れていっていただいたのは明治初期創業の竹屋。
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登録有形文化財に指定されている木造三階建ての凛とした佇まいです。
でも中に入ると、格式ばったところがなく、気さくな接客と雰囲気が和ませます。
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鰻重よりここでは鰻丼だそうです。パリッとした鰻が香ばしく、なんとも言えない粋な感じで、真夏に恋しくなりそうです。
洋々閣の女将さんが「唐津人は大らかでそんなに欲を持たず、宵越しのお金をもたない、という気質がある」と仰っていましたがこのお店の雰囲気と味に東京の下町を思い出しました。

今回あまり試せなかったのですが、唐津はスイーツも充実しています。
竹屋さんもある町の中心部には気になるお店がいっぱい。
坂本さんおすすめの池田屋のくず饅頭。
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出来立てのぷるっぷるで食感がなんとも言えず。これも夏にさらに恋しくなりそう。
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池田屋さんはカキ氷が美味しいそうで、名物いきなり団子も気になります。

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そしてとても気になるのがツルヤのカステラとマカロン
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どう考えても持ち帰りが無理で諦めたのですが、カステラは日本一との噂も。マカロンは50年以上作り続けるロールケーキだそうですが、あのマカロンの味がするそうです。

こういう土地の人に愛されてきた地元スイーツ巡りはキュンキュンします。
唐津焼でこんなスイーツやグルメを出してくれたら街あるきがもっと楽しくなる、と思っていたら、坂本さんが実行されている「やきもん祭り」で実践されているそうです。
唐津焼と和菓子、ワイン、日本酒。。町のいたるところでコラボしていて楽しそう。唐津ならではのグルメを食せるだけでなく、窯元作家とお店で交流できるのも素晴らしいです。

そして夜は、ミシュランにも掲載のステーキ屋さん「キャラバン」。佐賀牛伊万里牛の評判を聞きつけて全国からグルメが訪れる名店です。
サラダやコーヒーがセットなっていて、唐津焼のうつわで出してくれるのも嬉しい。
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このお肉を塩ひとつまみ食べるのがポイント。
実はこの時具合がすこぶる悪く、お肉はだめかも、残したらどうしよう、と心配だったのですが、重くなく、ペロリと食べてしまいました。
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このお店は美味しいだけではなく、店主のキャラクターと絶妙なトークも魅力です。
観光ガイドには載っていない、唐津の歴史や見どころをお客さんに惜しげもなく伝えます。
とてもお忙しいのに時間あれば海外から来たお客様などを案内する、というフレキシブルさ。本当に唐津が大好きなのです。
ここで食べながらお話を聴いて、翌日はそれをもとに唐津をめぐる、というのが本当のおすすめかもしれません。

そして坂本さんのご紹介できた私にも気を使ってくださり
カウンター越しに
「明日はどこに行くか?」「これからどう九州をまわるか?」という質問。私があまりにも考えてないこと、そして呼子へ今回行かないことがわかると、「明日定休日だから唐津を案内する」と。
せっかくのお休みだし、遠慮したのですが、
結局は乗っかってしまうのでした。
そこでまだまだ唐津の魅力を知ることになったのです…


唐津の情景④唐津焼窯元巡り

思えば唐津という土地を最初に意識したのは、社会人になりたての頃。先輩編集者が「唐津にはほんものの店が揃っている」といっていて、そんな町ってきっと文化度も高いんだろうなぁとぼやりと思ったのを覚えているのですが、あれから20年、訪れると想像以上でした。
こんな素晴らしい場所ならもう少し早くくればよかった、と思ったり、この年齢だからこそ良さがわかるのかもと思ったり。

唐津には「美味しい食」「絶景」そして「唐津焼」という素晴らしいものがそろっているのです。
そうわかったのも、
今回、この3つのコンテンツを2日に分けて、2人のステキな唐津人にご案内いただいたからです。

ひとりは唐津焼や有田焼を取り扱うお店「一番館」の社長であり「唐津やきもん祭り」「唐津窯元ツーリズム」の実行委員長である坂本直樹さん。
人のご紹介で、初対面にもかかわらずなんと「プライベート窯元ツーリズム」をしてくださいました。
 
洋々閣に迎えにきてくださって(本当に恐縮)まずは鏡山へ。
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唐津を一望、名勝「虹の松原」の広大さに驚きます。玄界灘にぽかぽか浮かぶ島の奥に、壱岐までもが望める絶景です。

そして窯元ツーリズムの開始。

唐津焼の特色として、素材に対する強いこだわりから、職人さんひとりが自ら一貫して作業を行うことにあります。
原料の土探し、石を砕き、陶土。自然の植物を燃やした灰で作る釉薬作り。そして登り窯を自ら築き、焼成まで。
ひとりひとりが独立して窯を構えているのが、なんとも魅力です。

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こんな大きな登り窯と作業場、ギャラリーをもち、そして大変な工程を、こんな美しいかたがおひとりでやっています。
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三藤るいさん。
容姿とは対照的に作品が男らしく唐津焼らしいのも魅力なのでした。

続いて中里花子さん窯へ。
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いわゆる唐津焼とは違います。彼女が中里家の血をひきながら、アメリカで長く過ごし今も年の半分をアメリカで過ごし現地で制作しているそうで、本来の唐津焼にプラスした独自性があります。
「五感に直結するものづくりが日本のアート」とおっしゃっていたのがそれを表します。
盛り付けやテーブルコーディネート、器に載る食までを意識されている。海外にいるから、女性だからこその創作表現に惹かれます。

目があった白いうつわを買ってしまいました。
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その後花子さんの実家?、隆太窯へ。
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こちらは予約なしでも見学ができる貴重な場所です。壁を向いて ではなく、こちらを向いて作陶され「見せて」くれます。
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そして本家中里太郎右衞門へ。
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桃山時代から続く御用窯。唐津焼衰退後も唯一残り、古唐津技法を復活させ唐津焼を守り続けています。
歴史あるほんとうの唐津焼をここでみることができます。絵唐津、無地唐津、黒唐津、青唐津三島唐津唐津焼の様々。
比較的中心地にあるので足を運びやすいのも魅力。
ご紹介いただいた経緯でちょっとだけ奥も見せてもらえました。
素人でも「これは違う」とわかる登り窯の立派さです。登り窯を囲う屋根も風格あり。
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こちらは普段観ることができないのですが、秋の「窯元ツーリズム」時に一般人公開されるそうです。

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わたしが好きな写真です。
職人さんの後ろ姿がなんとも美しく、近寄って邪魔してはいけないと足早に去りました。
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 この後の旅で有田焼や薩摩焼にも触れるのですが、巡ってみて、改めて唐津焼が恋しくなりました。
焼き物についてはすごく興味があるのにあまりにど素人すぎて反省。
もう少し時間をかけて目を肥やしてもう一度窯元巡りができたら。20年後にはきっとまた違った見え方をしているはず。



唐津の情景③波の音で目覚める宿

窯元巡りをしてすっかり満足した後、二泊目の宿に着きました。
部屋に入ると疲れを吹き飛ばすような景色が広がっていました。
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唐津シーサイドホテル」。最近DHCが買収したそうですが、気持ち良いサービスが行き届いていました。

デッキもあって、ゆっくり海を眺められる作りになっています。
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何より部屋の居心地がよいんです。
清潔なのはもちろん、
玄界灘の穏やかな波の音が自然に聴こえて、その音が心地よくて。灘というのはこんなに心地良い音を奏でるのでしょうか。初めて聴いた音でした。

老夫婦がゆっくり砂浜を歩いている景色をずっと見ていたかったのですが、すぐウトウトしてしまいました。
多忙だったのですがここではじめてカラダが休まった気がします。
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海を見ながらの温泉、朝食も素晴らしくゆっくりできました。
ここも「泊まるなら二泊したい」と思いました。

このホテルは立地もいいです。
日本三大松原のひとつ「虹の松原」にほど近く、目の前の砂浜を歩くと着きます。翌朝はこの砂浜沿いを散歩することにしました。

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朝もこんなに碧く、透明な海にうっとり。
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そして虹の松原にすぐ着いたのですが、
広大な松原。ちょっと歩いてたら方向音痴な私はホテルがどっちかわからなくなりました。
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そこでウォーキングをしていたおじさんにシーサイドホテルはどこですか?と外国人みたいな質問をすると、自分もこれから行くから、ということで一緒に歩きました。

この方は鏡山の麓に住んでおり、虹の松原をウォーキング、シーサイドホテルのカフェでお茶をするのが日課だという。なんと贅沢。
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結局お茶をご馳走になってしまいました。

ほんとうにこれだけで大満足なのですが、唐津はほかにも素晴らしい景色と美味しいものがたくさんでした。
2つの宿とも、また泊まりたいです、二泊ずつ。



唐津の情景②ほんものの宿洋々閣

唐津は宿も格別でした。
今回長旅なので宿代を抑えたのですが、
どうしても泊まりたい宿が唐津にありました。

「洋々閣」。
明治26年創業の老舗宿。波音が聞こえるほどの海の近くにあります。
唐津の歴史と洗練さ、情緒さをぎゅっと凝縮したような、そして細部まで美意識の行き届いた、日本の良さ、日本人の心を揺さぶる最高のお宿でした。
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かつて人力車が入るよう作られたという奥行きのある玄関。
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その先には女中さんがひとり待っています。このひとりの女中さんがひとつの客を見送りまで受け持ちます。

そして玄関奥には花守が山で摘んできた自然の草が飾られていて、旅の疲れが癒されます。
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ひとめで細部まで配慮がされていることが自然と伝わってくる屋内。

渡り廊下も曲線的な造形。
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中庭の回遊式庭園を歩くと宿全体が見渡せ、閑静な中に波の音がかすかに聞こえます。

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支配人の大河内さんに聞くと、本来の日本の旅館のカタチ、日本の良さを伝えるべく、室内もとことんいいものを探してしつらえてあるそう。 鳥のさえずりや波の音を感じられるよう、BGMは一切ながしていないとのこと。
夕刻に中庭から見た空も、この宿だから表れたような美しい日本の風景でした。
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部屋の中も美意識が詰まっています。
現代では貴重な手編みの網代天井。
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檜風呂からは、丁度窓越しに唐津城が見える設計。
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そのほか、お部屋の中には「わかるひとにはわかる」という調度品が自然に置かれているそうです。わかるひとがそっとわかる、って粋。

唐津焼の良さを伝えるべく、館内には3つのギャラリーもあります。

それに、夕食は唐津焼、朝食は有田焼のうつわででてきます。
夕食は玄界灘の天然素材を中心としたお料理。お部屋で食べられます。
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女将さんがご挨拶に来てくださったので
なぜ唐津に偉人さんが多いのかとか聞くと、物腰柔らかな女将さんはとても歴史に詳しく、面白くて色々聞いてしまいました。
足がお悪いのに畳にずっと座らせてしまったことを後悔。。

翌朝、歩いて5分もしない近くの浜辺を散歩。穏やかな海。遠くに唐津城が見えます。
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こんな素敵な海辺が近くにあるなんてこの近くに住んでいるひとがほんとうに羨ましい。

このお宿は、行くのならゆっくり二泊はしたいです。一泊だとこの価値が十分満喫できないような中途半端な気持ちでした。
そして、その価値があるような客になって再訪できたら、と思いました。
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洋々閣を二泊にすればよかった。。と思い向かった次の宿。
洋々閣とは全く異なるテイストですが、こちらも結果的には「二泊はしたいな」と思わせる宿でした。




唐津の情景①歴史に触れるまちあるき

その土地に降り立った途端、あ、ココ好き!と直感する町があります。流れる空気感、落ち着いた佇まい。そんな町はたいてい歴史があって独自の文化があり、食べものが美味しく、街歩きが楽しい。
唐津は、まさにそんな町でした。

情緒的で大陸的。港町だから荒っぽい面もあるけれど、町を取り巻く玄界灘と大河の情景は穏やかで大らか。
そして土を探すところから基本ひとりで丁寧に作られる唐津焼の魅力。
美味しい食べものと気になるスイーツ。
町を知るに連れどんどん好きになり、最後には離れたくない気持ちまでになる町でした。
今思い返してもウットリします。
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福岡方面から海沿いを走る電車でずっと海を眺めていると、瓦屋根の家並が目立ってきて「あ、なんかこの情緒的な風景素敵!」と思ったら、唐津に入っていたのでした。
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玄界灘に面した町。陽もサンサンと降り注いでいて、健康的な匂いがします。

駅から一泊目の宿「洋々閣」に向う間の風景でトリコに。松浦川の大陸的な流れと情緒的な風景に心惹かれます。
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宿で自転車を借りて町へ。
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唐津城が大陸に向かってそびえ立っています。橋もひとつひとつが重厚に造られていて、風景はまるで異国のよう。

江戸時代から続く天領の城下町だけあって、町のあちこちに石垣が残っています。
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そして歴史的建造物もあちこちに。
こんな歴史的さんぽと唐津の代名詞とも言える美味しいものが、歩ける範囲である、というのも唐津の魅力です。

まずは旧唐津銀行へ。

唐津を訪れたかった理由のひとつが辰野金吾の故郷ということ。監修の旧唐津銀行は赤煉瓦に白い御影石のまさに辰野式スタイル。

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中は設計者の田中実がこだわったアールヌーボー調がところどころにみられます。
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解説を読むと明治18年設立時の初代頭取が大島太郎という若干26歳なのが驚きです。

佐賀には明治維新の時代の変わり目に活躍した偉人が多いのですが、
唐津が偉人を輩出したのは、明治3年に唐津藩主が設立した洋学校「耐恒寮」の高橋是清の教えが大きいようです。しかし若干17歳の型破りな高橋是清を東京から呼んでしまった藩主のご英断…。

続いては旧高取邸へ。唐津城近くの海岸ぞいにある、炭鉱王の旧邸です。
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ここ、邸宅内がほんとうに素晴らしくて唐津の魅力の大きなひとつであるのに撮影禁止。もったいない!
炭鉱王、というとイメージがあまり良くないのですが、この高取氏は本当の実業家で教養豊か。
和風建築の中にアールヌーボー調のランプシェード。大広間は能舞台にも。能舞台の奥にしつらえられた杉戸絵も圧巻です。大隈重信が訪問する際にそのためだけに作られるたトイレは有田焼のタイル。
贅沢ではあるけれど、品格のある素晴らしい邸宅です。

玄界灘の風と海の音も心地よく、裏通りを抜けるとすぐに美しい海が広がっている好立地です。
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このちょっとの街歩きですっかりトリコになっているのですが、この後さまざまな風景もお宿にも唸りっぱなしなのでした。。続く

出張するなら八戸へ①電車に乗って港町はしご酒

先日八戸に行ってきました。
八戸といえば、観光プロモーションの大お手本、他の自治体の憧れのような存在です。
八戸で育ったこともあり、私自身もこの街に関心を持ち続けていたのですが、
新幹線が開通した辺りからコンテンツの切り方、観光商品の開発がずば抜けています。

「陸奥湊の朝市」は新鮮で安い魚介類が食べられ、働きモノの行商のおかあさん「いさばのかっちゃ」との会話が楽しくて有名です。
また八戸は漁師の街であることから朝6時から銭湯が開き、早朝から銭湯に行く文化があります。

その朝市と銭湯をセットにしたビジネスマン向けツアー「あさぐる」は秀逸。
早朝6時にホテルにタクシーに迎えにきます。美味しい八戸ならではの朝ごはんとひとっぷろを楽しんで8時半にはホテルにタクシーが到着、それから仕事に向かうという、出張ビジネスマンにターゲットを絞った官民協業の取り組みです。

素晴らしい、素晴らしいと唸っていたのがこれ以上の、ビジネスマンが泣いて喜ぶような八戸の楽しみ方がございました。
仕事ではなかなか取り上げずらく、でも本当に素晴らしいのでここでご紹介します。

「鮫銀座★漁師の隠れ家はしご酒ツアー」

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「鮫」というのは八戸の港町です。
そこに、かつては賑わってたであろう、漁師さんが通う小さな呑み屋街がひっそりと残っています。
八戸線という海沿いのJR線に乗って、一見さんは絶対入れないお店に入ってお酒と情緒を愉しむ、という、八戸市民もできない、相当貴重なツアーです。

17時に本八戸駅集合。
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八戸線、市民には馴染みがありません。私も10年間いて2度位しか乗りませんでした。本数も少ないです。
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切符をもらい、4駅ほど乗ります。
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途中、遊郭があった「小中野」や魚市場がある「陸奥湊」を通り、それぞれの街の説明も車中でしてくれます。

鉄道ファンにはたまらない「鮫」駅に到着。ちょうど日が暮れる頃です。
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ここから飲み歩きがはじまります。

基本「一杯」と「おつまみ」がツアー料金に含まれ、追加注文は自腹。楽しくて安いので、ほとんどの方が追加注文してました。

1軒目ではこんなメニューも。
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お店のすぐそこの港で取れたタコ。でも茹で方によって全然味が違うので
「佐藤さん」が茹でたものと「田中さん」のタコ刺しと食べ比べです。
本当に全然違う。わたしは柔らかくて塩気の少ない佐藤派でした。。

40分位楽しんで、
お店を出た頃はちょうど夜のはじまり。
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いよいよの鮫銀座に向かいます。
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鮫銀座。こういうお店がちょこちょこっと並んでいる「銀座」横丁です。賑わっているのではなく、ひっそり、しみじみというのもある程度の大人の男性なら、良さがわかるはず。。、

二軒目は「三島屋」という焼き鳥屋さん。
佇まいにぐっときます
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中に入るとニコニコしたおかあさんが迎えてくれます。
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そしてこの町だからこそ出る、店の味わい。色んな人が通って、それぞれに物語があって、という人が生きたカタチが店の端々に残っています。
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酒の肴はもちろん焼き鳥。
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こんなメニューたち。
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追加料金もかわいいモノです。
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いよいよクライマックスの3軒目。
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カウンターに横並びで飲みます。
高倉健の映画にでてきそうな
テキパキとしたかっこよい女将さん。
愚痴聞いて励ましてもらえそう。。
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肴は地元でしか作らないという海藻を固めた独特なおつまみと八戸のイカ、マヨネーズと七味付き。
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最後には八戸の民謡「八戸小唄」をスタッフが唄い、女将さんが踊りました。
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個人的には馴染みのある歌だったのでじんときました。なんとか生き延びてこうやって一応は仕事でこの町に再訪できて、しかも子供の頃には決して知らなかった大人ならではの愉しみを味わえて、と感慨深いものがありました。

そして最終の八戸線で帰ったのでした。
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この、大人になって良かったツアー、
自力ではなかなか無理がありますので、地元のツアーに申し込みがよいです。
6月にもあるようです。
https://actygoing.wordpress.com/page/2/

この素晴らしい取り組みを企画実行されているのはアクティの町田直子さん。
地元のNPO法人ですが、魅力的なコンテンツを発掘し、自らも企画開発し、他に類を見ない企画を様々打ち出している、尊敬する女性です。
この方による企画は、どれもこれも最上級。
「面白い!」と思ったことの切り方と実行力の賜物なのかと思いますが、
もうとにかく、八戸の魅力を何十倍にして伝えています。
わたしも元八戸市民として、こんな方が八戸にいて良かった、ありがとうございます、という感謝の気持ちでいっぱいです。

八戸に行ったら、いえ、八戸に是非行って、他では味わえない、最高の夜を過ごしてください。
▪️アクティ

そうそう、八戸は夜がディープです。。最高の夜の過ごし方をもうひとつ、またお伝えしたいと思います。


下駄の音が鳴り響く、究極のおもてなし温泉

 
城崎温泉。昔から人気で温泉情緒たっぷり、そして地元のワカモノが盛り上げていると聞き、ずっと気になっていた場所。
関西のひとには馴染み深い場所ですが
東京からは結構遠くてなかなか行けない。
やっとで行くと、そこはわたしの中ではナンバーワンに輝いた素晴らしい温泉地でした。

風情や歴史、お湯の良さもさることながら、
「駅が玄関、道が廊下、宿が客間」という言い伝えの通り、街全体がまるでひとつの宿のように、一丸となって「最高級のおもてなし」をしているのです。

街の雰囲気は、まるで時代劇の中に入ったよう。明治の文豪たちが訪れた面影を残す、歴史の重なりこそが醸し出す情緒的な世界です。
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そして旅館やお店も大型が存在せず、昔から続くこじんまりとしたものが連なっていて、美しい。
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町中に7つある外湯の外観も一つ一つに個性があり、入ってみたくなる。
「一の湯」は歌舞伎座のよう。建
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「御所の湯」は風格あり、かつ和む、ホンモノ感。
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建築めぐりとしてもたのしめます。


お風呂自体もひとつひとつに個性。
「一の湯」はな自然の岩を積み上げた洞窟風呂。
「御所の湯」はおもてなしづくしの日帰り温泉。露天風呂の中に腰にジエットバスがあたる椅子があって滝をみながらゆっくりできたり、小さなこころ使いがそこかしこにあります。
比較的小さな「柳の湯」はアロマ&ミストが効いていたり。
外湯めぐりがあっても、同じようなものばかりが殆どなのに
城崎温泉はそれぞれが異なるので、ワクワクしながらたくさん巡りたくなります。
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そして驚くのがお客さんの数と笑顔。
夕方から夜になると、カランコロンと下駄の音が鳴り響きます。山に囲まれた温泉街なのでその音が反射して
心地よい音楽みたい。
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客層も特徴的。20代くらいのグループやカップルが多いので色とりどりの浴衣姿が温泉街を一層華やかにします。
私はこんな華やかな、そしてお客さんの笑顔がたくさんの温泉地をみたことがありません。
外湯めぐりを楽しみがら
射的屋さんで楽しんだり、途中にあるジェラード屋さんに寄ったり。パブもお土産屋さんもどこも人でいっばいでした。
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温泉街に行っても泊まる旅館から出ないことも多いのですが、ここでは皆、街に出てきて夜を楽しんでいます。

素敵な仕掛けが、宿で貰えるバーコード。首から提げるようになっています。
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これがあればすべての外湯が無料で楽しめます。無料だと色々楽しみたくなるから、下駄の音が鳴り止まない。。

そして街の中には随所に休憩できるスペースも。
特に情緒的な石畳みの橋の上にベンチがあり、柳から見える温泉街を眺めながら湯上がりビールを楽しめるなんて最高。
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夜の城崎温泉ジブリの世界のようでした。
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さらにさらに、宿には地元のワカモノが作ったというグッズが。
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志賀直哉の「城崎にて」を城崎温泉の解説付きで読めるミニサイズの本。ポケットに入れながらゆっくり回って欲しいという。万城目学の城崎を舞台にした本は濡れてもいいタオルカバー付き。
昔は旅館組合、物産店組合と完全分離していたそうですが、今は一緒になってやっているそうです。
思えば駅からの送迎バスも旅館単独ではなく各宿で人を降ろす旅館組合のものだし、荷物を駅前の荷物預かり所まで車でもっていってくれるサービスも。
外湯 ではお客さんをみてすばやくその旅館の下駄を用意していました。
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お客さんが気持ちよくなる、連携システム。
連携して街を盛り上げることで、下駄の音が鳴り止まない活気のある温泉街が出来上がっていたのでした。

お湯は志賀直哉が療養に来ただけあって、キツくないお湯。
わたしも楽しくて美味しくて、お湯もよくて熟睡し、芳しくなかった体調がよくなりました。

お湯に浸かり、地元の美味しいものをたべ、温泉街を楽しむ。すっかり疲れがとれて有難く思い、日頃お世話になっている人にお土産を買う。
日本人のDNAが求める、温泉と楽しみ方を最上級に叶えてくれるのが城崎温泉です。