北三陸ブルーに触れる①三陸鉄道と人とのちょっとした触れ合い
碧い瓶が美しいです。
途中、本来の三鉄車両とすれ違うまでずっと停車
ゆっくりのんびり1時間。
お料理は名産であるアワビ、ウニなど海の幸豊富でありながら、ひとつひとつがちょこちょこしててなんとなく食べれてしまえるのが素晴らしいです。
名勝「北山崎」の最寄り駅である「田野畑駅」で降りました。
今日の宿は駅からほど近い海沿いに立つ宿。
名前はシブいですが、海の幸のお料理が美味しく、おもてなしもよくリピーターが多い宿です。この日も平日なのにほぼ満室でした。
全室海が見える部屋で、お風呂からも朝日や夕日をみることができます。
ウニごはんといちご煮の〆で、そんなに高くないお宿代なのが嬉しいです。
家族を連れてきたいなと思いました。
部屋に戻り、地元の方が差し入れしてくださったのも碧い瓶。
「酔仙」の日本酒スパークリングです。
瓶たちは碧い空と海が影響されているのでしょうか。
1日をご一緒した地元女子とたくさんお話すると、たくさんキュンとすることがありました。
岩手にも各地域に地酒があるのですが、各地酒の特長をよくわかっていて、気分に応じて選んだり。居酒屋でも家でも、飲む時は必ず岩手の地酒だいう。
そしてお箸は浄法寺塗を使っていたり、おうちでビールを飲む時は小久慈焼、大野木工のお椀は絶対に傷つかなくて使いやすい、ふと見るとブレスレットやネックレスが久慈の琥珀だったり。
当たり前のように地域のものを愛して、暮らしている様子が、
故郷のない私からすると
カッコよく、そして羨ましいのでした。
町の息吹を感じる感動ツアー「長崎"プライベート"さるく」
思いもかけず「長崎さるく」の仕掛け人とつながり、長崎に着いたとたん「プライベート長崎さるく」がはじまったのでした。
「長崎さるく」はずっーと気になっていた存在。いわゆる観光スポットではなく、小さな路地を入ったところや曲がりくねった石畳の坂道をきったところに町の魅力を感じてもらう、地元視点での町案内。「さるく」とは長崎弁で「ぶらぶらあるく」という意味だそうです。
この時の感覚は今でも忘れられません。
数時間前に繋がった人と、異国情緒たっぷりの町をおしゃべりしながら並んで歩く。映画の中にいるような、不思議な感覚でした。
潤介さんの手にかかると、写真を撮って終わりの眼鏡橋もその周辺もとたんに色づき、輝きはじめます。街が動きだし、ヒトの息吹を感じはじめるのです。
例えば、眼鏡橋含めこの川にかかる橋はすべてお寺に続く道。町の区分も区画ではなく通り沿いで町内会が形成されているのだそうです。
川沿いにそれを説明する掲示がありました。タイルなのも異国情緒たっぷり、長崎的。
町の境界線が「背割」を今も見ることができます。
眼鏡橋は背後からも観ます。この景色のほうが、美しい。
この奥にシングルアーチの石橋があるのですが、眼鏡橋は日本で最初の石橋を作るテストケースだったそうです。
ウンウンと頷きながら歩いていると、「ここで大川さんにプレゼントです」と
の声。昔懐かしい屋台のアイス。
ローズ型になっているのがなんともおしゃれ。食べながら川沿いを歩くと、自分が町の一部になったようで嬉しくなりました。こんな仕掛けも素敵です。
続いて橋から直ぐの界隈へ。そこは古いものと新しいものが共存する魅力いっぱいの商店街。
潤介さんが育った町だから顔馴染みも多く、会話が弾みます。
酒屋さん。
ザボン漬けやさん。初めて見たのですが、文旦の砂糖漬けで長崎の伝統菓子だそう。
唐から伝来、舟の重しとして、乗組員の糖分と水分とビタミン補給として役だったそうです。お店のおかみさんががとても愛らしくて素敵です。
長崎は和菓子屋さんではなく饅頭屋さんというのが独立してあるそうです。
確かに後でよく見るとそこかしこにありました。中国の影響なんでしょうか。
佇まいが美しいです。
特に惹かれたのが昆布屋さん。
ごはんに添えるさまざまな風味の昆布を計り売りしていて、「今日はこの味にしようかな」と潤介さんは買っていました。昆布をお惣菜のように選ぶこと、憧れます。
このショーケースもさまざまなこんぶ。
昆布飴のパッケージが可愛くてお土産にしました。
ほっとする優しい味と食感でお気に入りに。長崎再訪したらまたこのお店は行きたいです。
この通り沿いには多分日本一有名な、老舗カステラ屋さんがあったり
もう少し街中に入ると、またも歴史ある寿司屋さんがありました。
ここでも異文化的な楽しいことが。
鉄火巻を頼むとマグロではなく、旬のお魚を巻くのだそうです。お店や時期よって、鉄火巻の中身は変わるんだそうです。もう、こういうの、たまりません。
こんな歴史ある通りのすぐ横には、ワカモノが似合うおしゃれな界隈も。
ここで美味しい珈琲を飲みながら、感想などをゆっくりお話ししました。
この町あるきは体験はジワジワとくる感動ものでした。
町を愛する人と一緒に歩くことで、
ただの観光では決して見えない、
そこに生きてきた、そして今生きているヒトの生活と息吹を十分味わうことができるのです。
そこで日々慎ましく営まれている、これまで営まれてきた人々の生活をぐっと身近に感じ、その生活を通してこの町の歴史や文化を知ることができます。
それは名所を見て歴史を感じる、美味しいものを食べてご当地を知る、といういわゆる観光とは格段に違います。
人とのちょっとした触れ合いもあって、
たちまちその町が身近になって、ファンになる感じ。親近感が生まれるのです。
旅とは本来こういうことなんだとおもいます。現地の生活を知り、そして視野が少しだけ広がって自分の生活に戻る。時々その地の人に想いを馳せる。目に見えないもので、つながっている。。
しかし、現地に友人がいる、とか、よほど社交的でなければ、こんな体験はなかなかできないです。
そんなかけがえのない旅を実現させてくれるのが長崎さるく、という町の仕掛けです。
今各地でこういう楽しい仕掛けがどんどん出てきてます。旅好きな方にはぜひもっともっと活用したいなと思いました。
さて、潤介さんの長崎さるくは、結構有名どころもおさえてて、いわゆる観光要素もばっちり含まれているのも魅力でした。
実はさきほどのスタンドカフェ、いきたいなあと思っていたところだったのです。
それに夕ご飯は老舗。
どんぶりいっぱいの茶碗蒸しと蒸し寿司とお店の雰囲気も感激でした。
これなら長崎初めての方でも大満足です。
これはたまたまですが、長崎くんちの練習風景に出会いました。潤介さんもかつてずっと参加していた場です。
若旦那衆が腹の底から声をだして、粛々お練習していました。伝統をしっかり守る、その男前な風景とドラの音が忘れられません。
こんな裏っ側をみたら、好きにならずにいられない、ですよ。
数時間前に繋がった人と町歩き
今回の旅は「数時間前につながった人に、その土地に着いたとたん町を案内してもらう」という現象が起きました。旅行はかなり行ってますが、こんなことは初めてで、会ったばかりの人と初めての土地を案内してもらいながら、肩を並べて色々おしゃべりとしながら歩いている感覚は、今思い出してもキュンとなります。
映画の中に入ったような、なんとも言えない不思議な気持ちと味わったことのない喜び。かけがえのない体験です。
町歩き案内の詳細の前にそうなった顛末を少し。
山口さんは、絹織物の産地で色気あるお祭りが残る富山•城端の街並み保存をされている方。でも一度しかお会いしていないのです。躊躇しましたが 、困っていたので、お言葉に甘えることにしました。
繋いでいただいたのは、「長崎コンプラドール」の田中潤介さん。
「コンプラドール」というのは長崎の出島にかつていたオランダ貿易の仲買人のことで、町あるきを通して町と人をつなぐ活動をするNPO法人です。
私の所在など知らされずただ「ひとりで女性で無計画に旅している人がいるから」との情報だけで宿を取って下さる。そして電話でお話しすると、なんと私がずーっと気になっていた、長崎の町歩きツアー「長崎さるく」の仕掛人のおひとりだったのです。
そんなやりとりが長崎に着く3時間前だったのですが、なんと長崎バスターミナルまでお迎えにも来ていただき、長崎に着いたとたん、「プライベート長崎さるく」が始まったのでした。
有田さんぽ
乳白色の磁肌繊細で優美に描かれた絵付けやなんとも言えない藍色の紋様に惹かれる有田焼。九州に行きたかったひとつが、有田焼を見る、知ることです。
今右衛門窯、辻常陸窯、深川製磁などの伝統的なものから雑貨感覚で買えるものまで多種なのも魅力です。
有田でも、焼きものに詳しい方にご案内いただきました。
有田焼は17世紀初め、朝鮮から連れてこられた陶工の李参平が、日本でも白磁を作りたいと旅にでて、有田で磁石場を発見したことからはじまります。
まさに韓国や中国にありそうな風景です。
その数十年後の1650年代には、東インド会社によって輸出され、ヨーロッパ各国を魅了することになるのです。
というような有田焼の歴史と有田焼の特長は「九州陶磁文化館」でよくわかります。わかりやすい構成で美しい器をたくさん見ることができます。
中でも興味深いのが朝鮮陶工が山合いで登り窯を作り始めると、佐賀藩主が技術や人が他に流出しないように、そのエリアを閉鎖してしまうのです。
それが今、古い街並みとして大事にされている内山地区。
町家や洋館が建ち並ぶレトロな街並みです。
この通りには香蘭社はじめ様々な窯元のショールームが揃っていて、街並みを楽しみながらお気に入りのうつわを見つけられます。お手頃価格なメーカーさんもあるのがほっとします。
このメイン通りから裏道に入ると、美しい通り道が。
陶器の廃材を赤土で埋めた「トンバイ塀」。独特の味わいがあります。
この先を抜けたところにある川は、かつて職人が失敗作を投げ捨てていたそうです。
表通りは車道で広めなのですが、裏通りはゆっくり歩くのによいです。
さらにこの町ならではのものが。
階段を上り、線路を渡る参道。
その奥には鳥居、灯籠、狛犬までもなんと「有田焼」で作られた神社があるのです。
陶山神社といって、有田焼の神様、李参平を祀っているところです。この神社の奥にある高い山のてっぺんに李参平のお墓があり、有田の街を見下ろしていました。
この内山地区は、上有田駅からそれほど遠くなく、レンタサイクルもあるので便利です。
ちょっと車でいくと、龍泉峡という峡谷の緑をみながら、有田焼のうつわで食べれるすてきなランチスポットも。
有田焼も奥が深いので、年を重ねるほどきっといいものがわかってくると思うのです。なんど行っても新たな発見がありそう。それに「有田に通う」って素敵じゃないですか?
唐津の情景⑤絶景だらけの唐津とその周辺
さらに、唐津とその周辺は絶景だらけなことを知ります。
虹の松原。
広大な松林の中にも美味しいが2つ。
唐津みやげ「松原おこし」のお店。
鏡山をかたどった三角形の包みがレトロでたまりません。お店の雰囲気もきっと昔からのままで、しびれます。
そして駐車場にある「唐津バーガー」。
海辺の松林とこのバスのシチュエーションがイラストみたいで好きです。
河上さんも小さい頃から普通に食べていたそうです。小学生の頃、唐津バーガーを食べにいこう、と仲間を誘って広大な虹の松原の中でこのバンの車を見つけられなくて、迷って。。とか、街を出るときも帰郷の時も虹の松原を通るという話は、「スタンドバイミー」みたいで故郷のない私からすると、本当にうらやましく思いました。
その後は松浦川の河口から小さな渡航船に乗って高島へ。
この海の上から見る陸の風景が格別です。
大陸に向かって睨みを利かせているような、威厳ある唐津城がかっこよいです。
続いて呼子方面へ。
そこにはまた、穏やかで美しい風景が広がっていたのでした。
遊歩道を歩いて岩場に降りると、普通に透明な美しい海が。
磯遊びポイントだらけです。こんなところが普通にあって遊べること、どんなに恵まれているでしょう。
わたしが特にいいなあと思ったのが「波戸岬」。
芝生の向こうに、三方が海。佐賀ではよくある風景のようですが、この「端っこ」ならではの芝生と海の景色は、海が近くないところに住んでいる人にとっては絶景です。
九州オルレのコースになっていることに納得。
そうこうしているうちに夕暮れに。
最後に玄海町にある棚田へ。うまく撮れていないのですが、ちょうど夕陽が沈む頃で棚田がオレンジ色になっていたのでした。
電車を降り立った時から「この町好き」と思い、自分で街あるきをしてどんどん好きになり
旅やうつわ、歴史や文化に興味ある落ち着いた大人の方はきっと気にいると思います。
福岡から1時間で行けるのも魅力。美しい風景と美味しいごはんと、江戸〜明治の面影を残した街あるきをしに、ぜひゆっくり訪れていただきたいです。
唐津グルメ
「唐津というのは食の文化が発達している」とも昔から聞いていました。グルメ本なら福岡版、ではなく「福岡•唐津」版だ、と。今はミシュランも放っておかなくなりましたが、グルメじゃないわたしも気になるお店がたくさん。短い滞在ではとても回りきれません。
坂本さんにランチに連れていっていただいたのは明治初期創業の竹屋。
登録有形文化財に指定されている木造三階建ての凛とした佇まいです。
でも中に入ると、格式ばったところがなく、気さくな接客と雰囲気が和ませます。
鰻重よりここでは鰻丼だそうです。パリッとした鰻が香ばしく、なんとも言えない粋な感じで、真夏に恋しくなりそうです。
洋々閣の女将さんが「唐津人は大らかでそんなに欲を持たず、宵越しのお金をもたない、という気質がある」と仰っていましたがこのお店の雰囲気と味に東京の下町を思い出しました。
今回あまり試せなかったのですが、唐津はスイーツも充実しています。
竹屋さんもある町の中心部には気になるお店がいっぱい。
坂本さんおすすめの池田屋のくず饅頭。
出来立てのぷるっぷるで食感がなんとも言えず。これも夏にさらに恋しくなりそう。
池田屋さんはカキ氷が美味しいそうで、名物いきなり団子も気になります。
こういう土地の人に愛されてきた地元スイーツ巡りはキュンキュンします。
唐津焼でこんなスイーツやグルメを出してくれたら街あるきがもっと楽しくなる、と思っていたら、坂本さんが実行されている「やきもん祭り」で実践されているそうです。
サラダやコーヒーがセットなっていて、唐津焼のうつわで出してくれるのも嬉しい。
このお肉を塩ひとつまみ食べるのがポイント。
実はこの時具合がすこぶる悪く、お肉はだめかも、残したらどうしよう、と心配だったのですが、重くなく、ペロリと食べてしまいました。
このお店は美味しいだけではなく、店主のキャラクターと絶妙なトークも魅力です。
観光ガイドには載っていない、唐津の歴史や見どころをお客さんに惜しげもなく伝えます。
とてもお忙しいのに時間あれば海外から来たお客様などを案内する、というフレキシブルさ。本当に唐津が大好きなのです。
ここで食べながらお話を聴いて、翌日はそれをもとに唐津をめぐる、というのが本当のおすすめかもしれません。
そして坂本さんのご紹介できた私にも気を使ってくださり
カウンター越しに
せっかくのお休みだし、遠慮したのですが、
結局は乗っかってしまうのでした。
そこでまだまだ唐津の魅力を知ることになったのです…
唐津の情景④唐津焼窯元巡り
思えば唐津という土地を最初に意識したのは、社会人になりたての頃。先輩編集者が「唐津にはほんものの店が揃っている」といっていて、そんな町ってきっと文化度も高いんだろうなぁとぼやりと思ったのを覚えているのですが、あれから20年、訪れると想像以上でした。
こんな素晴らしい場所ならもう少し早くくればよかった、と思ったり、この年齢だからこそ良さがわかるのかもと思ったり。
そうわかったのも、
今回、この3つのコンテンツを2日に分けて、2人のステキな唐津人にご案内いただいたからです。
人のご紹介で、初対面にもかかわらずなんと「プライベート窯元ツーリズム」をしてくださいました。
洋々閣に迎えにきてくださって(本当に恐縮)まずは鏡山へ。
そして窯元ツーリズムの開始。
唐津焼の特色として、素材に対する強いこだわりから、職人さんひとりが自ら一貫して作業を行うことにあります。
ひとりひとりが独立して窯を構えているのが、なんとも魅力です。
こんな大きな登り窯と作業場、ギャラリーをもち、そして大変な工程を、こんな美しいかたがおひとりでやっています。
三藤るいさん。
容姿とは対照的に作品が男らしく唐津焼らしいのも魅力なのでした。
続いて中里花子さん窯へ。
「五感に直結するものづくりが日本のアート」とおっしゃっていたのがそれを表します。
盛り付けやテーブルコーディネート、器に載る食までを意識されている。海外にいるから、女性だからこその創作表現に惹かれます。
目があった白いうつわを買ってしまいました。
その後花子さんの実家?、隆太窯へ。
こちらは予約なしでも見学ができる貴重な場所です。壁を向いて ではなく、こちらを向いて作陶され「見せて」くれます。
そして本家中里太郎右衞門へ。
比較的中心地にあるので足を運びやすいのも魅力。
ご紹介いただいた経緯でちょっとだけ奥も見せてもらえました。
素人でも「これは違う」とわかる登り窯の立派さです。登り窯を囲う屋根も風格あり。
こちらは普段観ることができないのですが、秋の「窯元ツーリズム」時に一般人公開されるそうです。
わたしが好きな写真です。
職人さんの後ろ姿がなんとも美しく、近寄って邪魔してはいけないと足早に去りました。
焼き物についてはすごく興味があるのにあまりにど素人すぎて反省。
もう少し時間をかけて目を肥やしてもう一度窯元巡りができたら。20年後にはきっとまた違った見え方をしているはず。