レトローカル旅

レトロに出会い、地域と繋がる、最高のひとり旅

弘前街あるき②ディープ編 かっちゃの女子ツアー


今回体験したかったのは
弘前路地裏探偵団」。観光スボットだけでなく小路や裏通りも案内することで街の文化と生活の息づかいを感じられる、現地の方の視点による街あるきツアーです。
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5月の九州旅行で訪れた長崎で、長崎の街あるき「長崎さるく」の仕掛け人田中潤介さんに急遽プライベートツアーをやっていただき、感動しました。
商店街や路地裏を案内いただくことで、そこに住む人の息吹と生活を感じることができ、その土地がずっと身近になったのです。
その潤介さんが「弘前の路地裏探偵団はすごいよ」とおっしゃっていて、気になように。

そこで図々しく潤介さんを通して弘前路地裏探偵団の団長、そして弘前観光コンベンション協会の事務局長の坂本崇さんをご紹介いただき、2つのツアーを体験させていただくことになりました。
図々しく。

私が訪れたのは8月1日。ちょうど「弘前ねぷた」が始まる日。

ひとつはお昼に行う女子限定ツアー「かっちゃと歩くぶらぶらさんぽ」。かっちゃとは津軽弁でお母さん、ご婦人です。
地元の女性に津軽弁で案内されるなんて、魅力的。女性同士、というのも嬉しいです。

案内してくださった方のお写真を撮らなかったのですが、大きなお子さんがいる、かわいらしいマダムでした。
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一対一をいいことに、私は質問攻め。それに丁寧に応えてくださいます。

弘前は港町でもないのにほんとうに教会がたくさん。
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このことがずっと不思議だったのですが、江戸末期、弘前にも藩校があって、優秀な藩士を横浜で学ばせたそうです。そこで英語を教えてもらったのが宣教師で弘前に誘致したのがはじまりとか。
また弘前には東奥義塾という私学があるのですが、明治時代にいち早くアメリカ留学をさせ、そこで宣教師を連れてきたことも大きいそうです。
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旧東奥義塾外人教師館。

あー城下町はこういう歴史があるから、ひときわ情緒的で文化度が高くなるのです。この歴史がとても羨ましいです。

弘前昇天教会の裏道を行くと、すぐこんな大きなレンガ倉庫が。
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元酒造工場で、りんごの発泡酒シードルが生まれたところ。「まっさん」のように戦後フランスに渡り、シードルを学んで来た方がここで弘前のシードルを造ったそうです。
中心地にありながら今は使われてないそうですが、近年弘前出身の奈良美智が展覧会を行い大成功を収め、そして最近、市が買い取ったことで近々新しく生まれ変わるとのこと。こんな素敵な佇まいがどう生まれ変わるのか、ワクワクします。
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奈良美智の犬のオブジェはおでかけしていていませんでした。修復中だそう。

素敵な煉瓦倉庫をぬけるとすぐに、こんな愛おしくなる風景が。
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こちら、市場ではないです、駅です。
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駅ナカもレトロでたまりません。
昭和27年からそのまま。弘南鉄道大鰐温泉に向かう玄関口。
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かつての東急の電車を使っていて、つり革にふつうに「東急デパートへ」とかかいてあるそうです。
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さきほどの旧シードル工場ではフランス人職人を招聘したのですが、お風呂に入る習慣がないフランス人の匂いが気になり、この路線を使って通わせたとか。。

今や存続の危機下にあるそうですが、こういう景色はなくなって欲しくありません。昭和初期のラッセル車も走ってるそうです。

この線路を渡るとレトロな食堂や鍛冶屋さんがあったり
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すぐ飲み屋街が現れます。
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駅近くで、かつての「帰りに一杯」の場
所。
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この「かくみ小路」は、かつて「角み」という呉服屋さんがあったからだそう。今はおしゃれなレストランやバーが建ち並びます。

この小路を抜けると、今の中心地である土手町界隈へ。
弘前は見事に歩いてまわれる範囲に見所が集まっていてそこも相当な魅力です。

かつての中心地のスクランブル交差点、
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今はマンションになってしまっていますが、かつてだれもがお買い物をした「角は宮川」というデパートがあったそうです。
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デパートって家族との思い出がたくさんつまっている愛おしい場所。地方の百貨店は特に愛が詰まっている感じがして残っていて欲しかった。。

ここからは弘前の象徴である洋館と巡り。
カトリック弘前教会」は、ロマネスクな木造建築。
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この中が圧巻です。
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ステンドグラスには岩木山、りんご、津軽三味線などがモチーフに描かれています。
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そして礼拝堂が畳敷きになっています。
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かつては椅子もなかったのでしょう。畳は冬の足元の寒さを和らげるものなのかな。このようなこの土地ならではの形になった教会は訪れる人を魅了します。
そして撮影がOKなのも、とてもよいこと。こんな魅力は広く伝えたい。。

もうひとつの教会、「日本キリスト教団弘前教会」は残念ながら外観は修理中でしたが、中が特徴的。
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襖を抜けて礼拝堂があったり、
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二階はくつろげるような畳になっていました。
寄付を集うお賽銭入れがあけび細工なのもこの土地ならでは。
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洋館でひときわ圧巻だったのは旧青森銀行。旧五十九銀行本店です。
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函館で修行し、太宰治の生家である「斜陽館」はじめ津軽の多くの洋風建築を手がけた弘前出身の洋館設計士、堀江佐吉の集大成だそうです。

防火のために日本の土蔵造りを取り入れたり、柱や階段に青森産「ひば」や「けやき」を使用してたり
天井壁紙に貴重な「金唐革紙」が施されていたり。
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59をあしらった鍵?も。
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とにかく贅を極めていて圧巻。
でもちょっとおちゃめな面も。
案内人の方が「古い建物はバリアアリー」とおっしゃった階段。
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とにかく右歩けの指示。おしゃれな曲がり階段の先は
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左側から降りると危険。。

このツアーは途中で休憩も。
青森の銘菓といえばほぼすべてがこのメーカーという、「ラグノオ」のお店。
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このアップルパイは大好物。青森に行けば必ず買います。

このほかにも重要文化財を色々回ったり
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スタンバイ状態のねぷた小屋にも訪れました。

気がつけば、路地裏だけでなく「弘前で見てみたいな」と思っていた教会や洋館はほぼ全てまわっていました。

それに「こどもが小さい頃ねぇ」など生活が見えるような色んなお話を聞いたり、ねぷたへの思いを聞いたり。

こんな充実の2時間で2000円。
自分でゆっくり回るのもいいですが
その観光スポットまわりでは見えない生活の匂いがしたり、同じスポットでも地元の方の視点での案内は街が違った景色になります。

こんな充実の昼時間でしたが、この後、夜のディープな弘前ねぷたを、ディープな方にご案内いただき、生涯わすれられない思い出となる時間が始まるのでした。
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