レトローカル旅

レトロに出会い、地域と繋がる、最高のひとり旅

唐津の情景④唐津焼窯元巡り

思えば唐津という土地を最初に意識したのは、社会人になりたての頃。先輩編集者が「唐津にはほんものの店が揃っている」といっていて、そんな町ってきっと文化度も高いんだろうなぁとぼやりと思ったのを覚えているのですが、あれから20年、訪れると想像以上でした。
こんな素晴らしい場所ならもう少し早くくればよかった、と思ったり、この年齢だからこそ良さがわかるのかもと思ったり。

唐津には「美味しい食」「絶景」そして「唐津焼」という素晴らしいものがそろっているのです。
そうわかったのも、
今回、この3つのコンテンツを2日に分けて、2人のステキな唐津人にご案内いただいたからです。

ひとりは唐津焼や有田焼を取り扱うお店「一番館」の社長であり「唐津やきもん祭り」「唐津窯元ツーリズム」の実行委員長である坂本直樹さん。
人のご紹介で、初対面にもかかわらずなんと「プライベート窯元ツーリズム」をしてくださいました。
 
洋々閣に迎えにきてくださって(本当に恐縮)まずは鏡山へ。
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唐津を一望、名勝「虹の松原」の広大さに驚きます。玄界灘にぽかぽか浮かぶ島の奥に、壱岐までもが望める絶景です。

そして窯元ツーリズムの開始。

唐津焼の特色として、素材に対する強いこだわりから、職人さんひとりが自ら一貫して作業を行うことにあります。
原料の土探し、石を砕き、陶土。自然の植物を燃やした灰で作る釉薬作り。そして登り窯を自ら築き、焼成まで。
ひとりひとりが独立して窯を構えているのが、なんとも魅力です。

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こんな大きな登り窯と作業場、ギャラリーをもち、そして大変な工程を、こんな美しいかたがおひとりでやっています。
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三藤るいさん。
容姿とは対照的に作品が男らしく唐津焼らしいのも魅力なのでした。

続いて中里花子さん窯へ。
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いわゆる唐津焼とは違います。彼女が中里家の血をひきながら、アメリカで長く過ごし今も年の半分をアメリカで過ごし現地で制作しているそうで、本来の唐津焼にプラスした独自性があります。
「五感に直結するものづくりが日本のアート」とおっしゃっていたのがそれを表します。
盛り付けやテーブルコーディネート、器に載る食までを意識されている。海外にいるから、女性だからこその創作表現に惹かれます。

目があった白いうつわを買ってしまいました。
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その後花子さんの実家?、隆太窯へ。
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こちらは予約なしでも見学ができる貴重な場所です。壁を向いて ではなく、こちらを向いて作陶され「見せて」くれます。
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そして本家中里太郎右衞門へ。
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桃山時代から続く御用窯。唐津焼衰退後も唯一残り、古唐津技法を復活させ唐津焼を守り続けています。
歴史あるほんとうの唐津焼をここでみることができます。絵唐津、無地唐津、黒唐津、青唐津三島唐津唐津焼の様々。
比較的中心地にあるので足を運びやすいのも魅力。
ご紹介いただいた経緯でちょっとだけ奥も見せてもらえました。
素人でも「これは違う」とわかる登り窯の立派さです。登り窯を囲う屋根も風格あり。
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こちらは普段観ることができないのですが、秋の「窯元ツーリズム」時に一般人公開されるそうです。

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わたしが好きな写真です。
職人さんの後ろ姿がなんとも美しく、近寄って邪魔してはいけないと足早に去りました。
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 この後の旅で有田焼や薩摩焼にも触れるのですが、巡ってみて、改めて唐津焼が恋しくなりました。
焼き物についてはすごく興味があるのにあまりにど素人すぎて反省。
もう少し時間をかけて目を肥やしてもう一度窯元巡りができたら。20年後にはきっとまた違った見え方をしているはず。