レトローカル旅

レトロに出会い、地域と繋がる、最高のひとり旅

唐津の情景②ほんものの宿洋々閣

唐津は宿も格別でした。
今回長旅なので宿代を抑えたのですが、
どうしても泊まりたい宿が唐津にありました。

「洋々閣」。
明治26年創業の老舗宿。波音が聞こえるほどの海の近くにあります。
唐津の歴史と洗練さ、情緒さをぎゅっと凝縮したような、そして細部まで美意識の行き届いた、日本の良さ、日本人の心を揺さぶる最高のお宿でした。
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かつて人力車が入るよう作られたという奥行きのある玄関。
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その先には女中さんがひとり待っています。このひとりの女中さんがひとつの客を見送りまで受け持ちます。

そして玄関奥には花守が山で摘んできた自然の草が飾られていて、旅の疲れが癒されます。
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ひとめで細部まで配慮がされていることが自然と伝わってくる屋内。

渡り廊下も曲線的な造形。
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中庭の回遊式庭園を歩くと宿全体が見渡せ、閑静な中に波の音がかすかに聞こえます。

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支配人の大河内さんに聞くと、本来の日本の旅館のカタチ、日本の良さを伝えるべく、室内もとことんいいものを探してしつらえてあるそう。 鳥のさえずりや波の音を感じられるよう、BGMは一切ながしていないとのこと。
夕刻に中庭から見た空も、この宿だから表れたような美しい日本の風景でした。
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部屋の中も美意識が詰まっています。
現代では貴重な手編みの網代天井。
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檜風呂からは、丁度窓越しに唐津城が見える設計。
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そのほか、お部屋の中には「わかるひとにはわかる」という調度品が自然に置かれているそうです。わかるひとがそっとわかる、って粋。

唐津焼の良さを伝えるべく、館内には3つのギャラリーもあります。

それに、夕食は唐津焼、朝食は有田焼のうつわででてきます。
夕食は玄界灘の天然素材を中心としたお料理。お部屋で食べられます。
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女将さんがご挨拶に来てくださったので
なぜ唐津に偉人さんが多いのかとか聞くと、物腰柔らかな女将さんはとても歴史に詳しく、面白くて色々聞いてしまいました。
足がお悪いのに畳にずっと座らせてしまったことを後悔。。

翌朝、歩いて5分もしない近くの浜辺を散歩。穏やかな海。遠くに唐津城が見えます。
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こんな素敵な海辺が近くにあるなんてこの近くに住んでいるひとがほんとうに羨ましい。

このお宿は、行くのならゆっくり二泊はしたいです。一泊だとこの価値が十分満喫できないような中途半端な気持ちでした。
そして、その価値があるような客になって再訪できたら、と思いました。
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洋々閣を二泊にすればよかった。。と思い向かった次の宿。
洋々閣とは全く異なるテイストですが、こちらも結果的には「二泊はしたいな」と思わせる宿でした。