いい街にはいい本屋がある
浜松歩きで次に向かったのはここ。
この印象的な看板の階段を上がると、穏やかな街の雰囲気とはちょっと異なる
独特な空間が待っていました。
セレクトされた写真集が何かを訴えている感じ。
訪れる人も、大学生位の若者が基本一人で、ふらっと何かを探しに来ている。
文化と情報と人が交差する場所!
ワクワクしながらウロウロしていると
お店のデスクにいたショップの企画プロデューサーであり、カメラマンでもある中村ヨウイチさんがいろいろと教えてくださいました。
ここは浜松出身の写真家若木信吾さんがオーナーの、写真集を中心に扱う古書店。
ご本人が写真を学ぶためアメリカに住んでいた頃、都市の独自の文化・発信には書店が重要な役割を担っていることを実感、「いい街にはいい書店がある」と2010年に自らの故郷に作ったそうです。
実際に親交のある文化人を東京から招いてトークショーを行ったり、カメラ講座などのワークショップを開いたり、精力的に活動しているそう。
わざとポジ写真とそうでないものを見せて「ほんもの」を見極める力をつけたり。
その土地に降り立っただけで「文化度」「土地のパワーや可能性」が自然にわかる(つもりになっている)私。
浜松は大都市だしものすごいパワーを感じていましたが、このような場所があると、文化度も高い街なのだと確信に変わります。
そしてこんな街にはそれを受ける若者が居ることが重要ですが、すぐ近くに「静岡文化芸術大学」があるそうです。産業も発達して経済力もあり、文化もある整った地盤。
ただ、地元でのアート系の雇用というのはまだまだ、だそうで、せっかく地元の芸大を卒業しても東京などに行ってしまうとのこと。ヤマハ、ホンダといった世界に名だたる大企業があっても、地元に発注はあまり多くないようです。
中村さんたちの目標としては
「10年後には地元でアートの仕事が自然にできている地場を作る」こと。
実際にこちらで「はうなぎパイ」の春華堂の新施設のフリーペーパーを請け負ってるそうです。
やはりレベルが高い。。
若木さんの言葉
「いい街にはいい本屋がある」。
まったく同感です。
”知る機会”が少ないばかりに
子供たちの将来の可能性がぐっと狭まってしまうのが田舎の残念な一面です。
ネットが普及し今はそうでもないのかもしれませんが、
それでも、本屋やカフェなど、ふらっと立ち寄るところにハッとするモノや情報があると、そこから未来への可能性がぐっと増えるはず。
実際、若木さんも浜松での学生時代に、写真屋さんのフレームに入って写真に衝撃を受け、写真家になることを決意し、アメリカに渡ったそうです。
浜松には今も活躍し続けている先輩が、こんな形で故郷を引っ張っている素晴らしい場所があって、そこには志の高い人がいる。
浜松で育つ人が羨ましくもあり、何ができるわけではないのですが、応援したくなり、そして自分も背筋がぴんとのびる、貴重な時間でした。
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